恋をした記憶

普段読んでいる漫画は「3月のライオン」「ヴィンランド・サガ」「ヒストリエ」「メイドインアビス」を単行本で買うくらいで「僕の心のヤバイやつ」を知ったのはどなたかのブコメだったでしょうか。
ハマりました。自分でもなんでハマるのか分からないくらいハマりました。
私の読解力ではなかなか画面に描かれたメッセージを読み取ることができないのですが、Karte.30のフォント使い分けやKarte.41の原さんが廊下で会話を聞いていたなど、ブコメやブログやツイート経由で知ることが多く、また読み返すことによってニヨニヨできるので一粒で何度もおいしくていいですね。

最近は山田に対して「もっと落ち着いて!」「市川を追い詰めないで!」なんて思っていたのですが、
https://pbs.twimg.com/media/Ec4ODq1VcAA_kkZ.jpg:orig
https://twitter.com/lovely_pig328/status/1282978406259294208

Karte.49の公開後、時間を置いて桜井先生のツイートにアップされた扉絵を見て息を飲みました。
疲れ切った表情、うなじの汗、開いたままのブラインドから差し込む光、ぬいぐるみの(自分の弱点である)耳をなでる左手、投げ出されたペットボトル、パンケーキの壁紙、「おやす…」に対するねこカマキリスタンプ……
もう山田もとっくに限界を超えていて、苦しくて、それでも市川とつながっていたくて、勇気を振りしぼったんだなって心が震えました。
(94話という長い道のりがあったとはいえ)たった1枚のイラストでここまで心を揺さぶられた記憶がありません。
この作品を知ることができて本当によかった。欲をいえばもっと早く知っていればよかった。

作家の村上春樹はエッセイや読者からの質問で「恋をした記憶はいつまでも自分の心を暖めてくれる」と度々書いています。
私自身の「恋をした記憶」なんてあまりにも貧弱ですが、それでも確かに私の心のわずかな燃料になっています。
そして市川と山田の歩いてきた道、これから二人が歩いていく道、その「恋の記憶」は私の心を暖めてくれる新たな記憶となるでしょう。